アーカイブ: 2010年6月

Date: 2010.06.22 | 投稿者: nakamoto

プライベートで訪れたソウルの公共交通レポート、第2弾の今回は地下鉄編です。

地下鉄の改札口

ソウルで、言葉が通じない旅行者も気軽に利用できる交通手段としてオススメなのが、地下鉄です。

以下、乗車体験記とともに、ソウルの地下鉄をご紹介します。

<地下鉄の路線と駅>

ホテルから近い、市庁(シチョン)駅から乗ることに。

市庁(シチョン)駅の入り口

ソウル市の地下鉄は、9つの路線があり、それぞれ1号線、2号線、・・・と呼ばれています。さらに、番号だけでなく、東京の地下鉄のように色でも区別されています。

そして、駅にも全て番号が付されているため、路線図で行きたい路線番号と駅番号を確認すれば、初心者でも迷わず利用することができます。ちなみに、市庁(シチョン)駅の番号は、132番(1号線)と201番(2号線)。

地下鉄の駅には、色分けされた路線図(左)と、これから乗る路線の駅番号(右)が書かれた表示板があります

駅名の表示はハングルが基本ですが、英語も併記されていますし、手元のガイドブックに乗っている駅番号で確認すれば、大丈夫。

<切符の買い方>

ソウル地下鉄の乗車券は、2009年に、それまでの紙の切符から、再利用式のカード乗車券に変わりました。カードは1回ごとに発券機で買うのですが、購入時には運賃プラスカード保証金を支払い、下車後にカード保証金を返却してもらう、というシステムです。

駅に並んでいる券売機

駅によっては、券売機のタッチパネルに「日本語」のボタンがあり、日本語表示に切り替えることもできます。

日本語だからと安心していたら、行き先の駅名を選ぶ画面になったとたん、いきなり英語表示になり、少々慌ててしまいました。たくさんの駅名の中から何とか目的地を選び出し、購入枚数を選んで表示された料金を入れて、購入操作終了。できれば、駅名も日本語で表示される券売機があるといいんですけどね・・・。

券売機では日本語表示を選んで購入できます

初乗り運賃は1000ウォンで、日本円に換算すると約80円(2010年5月現在)という安さです。これに保証金500ウォンを加えて、最低1500ウォンで地下鉄に乗れるんです。目的の駅で下車したら、改札外にある「保証金返金機」にカードを入れて、500ウォンを受け取ります。

このオレンジ色のカードが、発券された「1回式交通カード」。ちなみに、suicaやPASMOのようにチャージして何回でも使用できる「Tmoneyカード」というのもあるそうです。

地下鉄の1回式交通カード

<改札から乗車へ>

とりあえず1号線で1つ隣のソウル駅までの乗車券を買って、改札口へ向かいます。

改札機にカードをかざしてからバーを押して通ります

全て自動改札なのですが、日本と違うのは、回転式のバーが付いていること。カードをセンサー部分にかざしてから、バーを押しながら回して、改札口を通ります。

また、ホームで列車を待つときに注意したいのが、上りと下りのホームを間違えないこと。進行方向の駅名がハングルで表記されているので、またしても一瞬焦りましたが、駅番号で確認することができます。

駅によっては、上りと下りとで改札口が分かれているところもあるそうなので、注意して下さい。

列車の方向(行き先)は駅番号で確認

ちなみに、線路への転落事故防止に役立つホーム可動柵は、高さがあるフルカバータイプですが、ガラス製のため見た目の圧迫感が少ないほか、壁面を利用した企業広告もあり、駅に明るさと華やかさを添えているようです。でも、これがあるおかげで、列車の写真は残念ながら撮ることができませんでした。

可動式ホームドアの横には鮮やかな広告が

すぐに列車が来たので乗り込むと、そこそこ混雑してはいましたが、車内は快適で、日本の地下鉄とほとんど変わりません。

車内は清潔で快適

車内の表示やアナウンスはハングル。降りる駅を間違えないように注意しながら、ソウル駅で下車。

光を放ちながら浮かび上がるソウル駅の駅舎

ソウル駅で乗り換えるため、改札を出てからいったん地上に出てみたところ、ガラスでおおわれたソウル駅が、夜の街にともる巨大なランタンのように輝いていました。

ソウル駅は巨大ターミナル駅

再び地下街へと戻って、今度は4号線に乗り換え、ソウル駅から2つ目の明洞(ミョンドン)駅で下車。

地下鉄明洞駅の入り口

明洞(ミョンドン)は、日本で言えば東京・渋谷のようなところで、ファッションや化粧品、グルメまで、何でもそろうショッピングストリートです。

夜の明洞中央路

今回は、地下鉄のほんの一部しか乗車できませんでしたが、次回ソウルに来る機会があれば、地下鉄を乗りこなして街歩きを楽しんでみたいと思いました。




Date: 2010.06.14 | 投稿者: nakamoto

芸術の街、笠間市の駅前商店街で、毎年6月の第一土曜日、日曜日に行われているイベントがあります。

青空にはためく「道の市」の文字

そのイベントとは「道の市」。今年(平成22年)で8回目になるそうです。

この「道の市」というイベントは、「笠間ハンドメイドフェアin弁天町」というサブタイトルからもわかるように、プロ・アマを問わず、自分のペースと領域を守り、モノを作り続けている本物の作り手、隠れ名人、自称名人などが弁天町の「道」に集まって、手作りの逸品を販売するというものです。

   道の市  http://www.michino1.jp/michinoichi/mtop.html

通りの入り口には町名の石碑が

車両通行止めの道路が会場です

車両通行止めとなった弁天町駅前通りは、たくさんの人でにぎわっており、地元笠間市のお店・作家さんはもとより、県内外の各地から集まった職人やアーティストの皆さんが、こだわりの手作り作品を並べていました。

 

 通りにはたくさんの人が・・・

手作りだから、1点モノばかり

どれにしようか、迷います

生演奏もありました

どのお店でも、売る人(作り手)と買う人(使い手)との会話があふれていて、モノとの出会いだけでなく、人との出会いも「道の市」の魅力となっているようです。

お店の人との会話も楽しみのひとつ

そんな弁天町の通りの中ほどに、なにやら目を惹くものが・・・。

きみどり色の不思議な乗り物は

見ると、レールの上を走るきみどり色の客車のようなものが、人に押されて動いています。

バス停のような「人車軌道のりば」

まるでバス停のような立て看板には「人車軌道のりば」とありました。

きみどり色の車両を押していた男性に「これは何ですか」と聞いてみると、「人車といって、昔、笠間市内を走っていた鉄道なんです」との答えがかえってきました。

人車を押していた、内山さん

人車を押していた内山さんによれば、大正4年(1915年)から大正14年(1925年)までの10年間、笠間駅から笠間稲荷神社近くまでの約1.1キロメートルに軌道が敷かれ、「笠間人車軌道」と呼ばれる人力の鉄道が参拝客を輸送していたそうです。

現在の笠間駅

このような「人車」は、かつては東日本を中心に全国各地で走っており、内山さんが収集した資料によれば、小田原駅から熱海まで、なんと25.6キロメートルもの長い区間を走っていた人車もあったそうです。

内山さんは、今では忘れられた乗り物となってしまった人車を知ってもらおうと、復元模型を手作りし、昨年の「道の市」で体験乗車を行ったところ、大変な人気だったとか。

第二弾の今年は、模型を段ボール製から木製にグレードアップし、レールの長さも6.6メートルから10メートルへと伸ばして、より本物に近い体験乗車ができるようにしました。

大きさは本物の人車より少し小さめ

 内山さんの手作り人車は、本物よりやや小さめ(約3分の2)で、子供5~6人が乗ればいっぱいの大きさですが、当時の人車は、車体の大きさが長さ1.8メートル、幅1.2メートル、高さ1.8メートルほどで、1両に大人8人が向かい合って乗車していたそうです。また、人車を押す人は「車夫」と呼ばれて、法被(はっぴ)などを着ていたそうです。

笠間人車軌道の手づくりキットまでありました

今では、移動手段の主流はマイカーにとって代わられ、鉄道やバスといった公共交通の利用者も年々減少していますが、人が押してゆっくりと走る鉄道があったことを知って、何だかのどかな気持ちにさせられました。








Date: 2010.06.09 | 投稿者: nakamoto

茨城空港からプライベート旅行で韓国へ行ってきた筆者が、今回は交通ブログの「国外版」として、ソウルの公共交通についてレポートします。

ソウル市内にある朝鮮王朝の霊廟「宋廟」

韓国(大韓民国)の首都ソウルは、人口1千万人を超える近代的な大都市です。

アシアナ航空の定期路線で茨城空港と結ばれている「仁川(インチョン)国際空港」から、高速道路を利用して約1時間から1時間半で、ソウル市内に到着します。

ソウル市内は、地下鉄、バス、タクシーなどの公共交通が充実していると聞いていましたが、ちょうど土曜日だったこともあり、市街地は自動車であふれ、大渋滞が起きていました。

4車線以上ある道路は自動車であふれ・・・・

本当にソウル市民は公共交通を利用しているのか、と疑問に思いながら通りをながめれば、これまた、たくさんのバスが連なって走っているのが目につきました。

聞けば、バスは、その種類によって色分けされており、少し長い距離を走る「幹線バス」は青色、幹線バスのバス停や地下鉄駅を結ぶ「支線バス」は緑色、都心を走る「循環バス」は黄色、ソウルと周辺都市を急行で結ぶ「広域バス」は赤色、というように、一目で種類がわかるようになっている、とのことでした。

幹線を走るブルーバス

支線的なグリーンバス

都心を走るイエローバス

韓国を案内してくれた現地のガイドさんによれば、市内の移動にはバスが大変便利で、ガイドさん自身も日常的によく使っているそうです。

しかし、バスが現在のような便利な乗り物となったのは、現在の韓国の大統領であるイ・ミョンバク氏がソウル市長時代に行った「バス改革」以降の、ここ数年の事だそうです。

この、ソウル市のバス改革って、どんなものなのでしょう。

ガイドさんの話や、ネット、ガイドブックなどで調べた情報にもとづいて解説しますと・・・・。

<清渓川復元とバス改革>

ソウル市内を流れる清渓川(チョンゲチョン)は、水質悪化に伴い、1970年代に暗渠(あんきょ:川にふたをしてふさぐこと)化されていましたが、2000年代に入って、清渓川の復元を望む市民の声が高まり、川の上を走っていた高架道路を撤去して、川を復元しました。2005年のことです。

しかし、それまで1日16万台もの通行量があった高架道路が無くなることで、締め出されたマイカーによる渋滞が予想されたことから、ソウル市ではマイカーから公共交通への転換を図るため、2004年に大規模なバス改革を行いました。

今では市民の憩いの場となっている清渓川

改革前は、乗客の多い場所に複数のバス会社の路線が集中する一方、乗客の少ない地域はバス運行本数が少なく、料金も値上げが相次ぐなど、利用しづらいものでした。

バス業界も、事業者数が約100社もあり、合併や倒産が相次ぐなど、経営的にも厳しい状況にありました。

そこで、行政、市民代表、バス事業者、有識者による「バス改革市民委員会」が中心となって、2003年から2004年にかけて、徹底的な改革案の検討が行われたそうです。

<バス改革の内容>

まず、バス路線を、先ほども書いたとおり、「幹線(青)」「支線(緑)」といった機能によって色分けし、さらに市内を8つのゾーンに分けて、系統を整理しました。系統番号は、8つのゾーン番号で整理されているため、バスの色だけでなく番号表示を見れば、行き先までわかる仕組みとしました。

8つのゾーンに系統が分けられている

また、ソウル市内は料金を均一とし、30分以内に乗り継いだ場合は、乗り継ぎ後のバス運賃を無料としました。地下鉄からの乗り継ぎも無料となっています。「Tmoneyカード」というICカードの導入によって、乗り継ぎもスムーズなうえ、バスに関する様々な情報を集中管理できるようになりました。

さらに、バス停などの施設を改良して、快適性、利便性も向上させました。

デザインのきれいなバス停の路線表示

清潔感のあるバス待合所

こういうベンチ、日本にもあるといいですね

これらの改革のベースとなったのは、バスの準公営化です。運賃収入はいったん市で集めて、運行距離に応じてバス会社に配分することとしたため、路線重複による乗客の取り合いなどの無駄もなくなり、需要に応じた路線配置が可能となりました。こうした改革の結果、バス利用者は17%も増加したそうです。

ソウルのバス改革は、その徹底した改革内容の点においても、過去の行政主導改革の失敗経験をふまえ、市民、事業者などの利害関係者が徹底した議論の末にまとめた、という点においても、大いに参考とすべきものだと感じました。

今回は、観光ツアーでの訪韓であったため、残念ながらバスに乗車する機会がありませんでしたが、次回、韓国へ行った時には、是非、色々な路線バスに乗ってみたいと思いました。